京都発!規格外野菜を乾燥させる次世代ブランドOYAOYA

みてください~! この、カラフルでとってもかわいいパッケージたち。中に入っているのはクッキーやキャンディかと思いきや、なんと乾燥野菜! それも賀茂なすに聖護院大根などの京野菜から、きゅうり、ラディッシュと実に多種多彩。これらは京都の株式会社Agritureがプロデュースするブランド「OYAOYA(おやおや)」。今回は代表の小島怜さんに、これらのおしゃれな乾燥野菜を作るに至ったお話などを伺いました。

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規格外野菜をアップサイクル

「農家と消費者を繋げる八百屋さんのような存在になりたい。行き場のない規格外野菜に価値を付けることで、食品ロスの削減と農業の存続に向き合いたい」と2021年3月に誕生した京都発の乾燥野菜ブランド「OYAOYA(おやおや)」。
名前も京都らしく、八百屋に“お”を付け、さらに野菜の存在も感じさせる、おしゃれなネーミングです。


小島怜さん


そもそも「子供の頃から野菜が好きだったんです」と語るのは、代表の小島怜さん。大学で農業地理学を学びながらWEB制作会社も経営していたのですが、3回生のある日、農家1軒に対し総収穫量の3割も出てしまう規格外野菜を使った新事業ができないかなと考えるように。そのことを友人に話すと、京丹後で農業を営んでいる友人のお祖父さんを紹介してくれ、早速、会いに行くことになりました。


ところが、そこで農業に対するちょっとネガティブな話を聞くことになるのです。というのも過去に規格外野菜を安価で買いたたかれた経験があるお祖父さんに「農業は全く儲からない仕事」と言われてしまったのです。
どんなに手塩にかけて育てても出てしまう規格外野菜は廃棄されたり、安く売られたり、もしくは無料で譲渡する場合も多々。
「もし、規格外野菜で商売をやるなら安く買いたたかないでほしい」……加えて「京丹後から京都市は離れているので輸送費が高くつくよ」とも言われました。



ちょっとサイズが異なったりキズが付いただけで規格外野菜になってしまいます


ですが、そのネガティブな中から思いついたのが、「野菜をドライ加工する」ということ。
乾燥すれば軽いし、カサも小さいので輸送費がかからないのではないか……それに自身をはじめ一人暮らしの人は野菜を買っても余らせてしまうことが多い、それでもやはり野菜は食べたい……。
ドライ加工にすれば気軽に食べられるし、色や形などといった見た目は関係なくなります。「規格外野菜のアップサイクルにもなるのではないかと思ったんです。」
この時の友人のお祖父さんとの出会いが後々、小島さんを大きく変えていきます。
※アップサイクル=創造的再利用=捨てられるはずの品に新たな価値を与えて再生すること


農業ってやっぱりステキな仕事


見学に訪れた地域共同組合がある集落。段々畑がみかんの段々畑が続き、その先に海や集落が見えます


思いをもったまま迎えた大学4回生の秋、小島さんは大学の研究のために愛媛県にある地域協同組合を見学に訪れました。そこは、形の悪い有機みかんをジュースや化粧品にして販売しており、また地域の農産物や海産物なども広く扱うユニークな組織でした。

「高齢化が進んでいる地域で、コンビニやスーパー、観光施設があるような所ではないのですが、組織見学や農業研修、買い物などに多くの人が訪れてて賑やかでした。」

しかも、そこで会った人々がみんな笑顔でとても魅力的。生き生きと農業について語る姿に「僕の中で、農業は暗いイメージだったのですが、とても明るくてステキな印象に変わったんです。」


エチエ農産の越江昭公さんと会長の雅夫さん


同じようなことを京都でもやってみたい……!
京都へ帰ると早速、紹介をうけて京丹後市久美浜でエコロジーな土づくりや有機・無農薬栽培で野菜を育てているエチエ農産の越江さんへ話を聞きに行きました。
エチエ農産では野菜を30種類以上も育て、規格外野菜は乾燥野菜やパウダーへと生まれ変わらせ、道の駅やマルシェなどで販売していました。ここでも生き生きと仕事について話す越江さんの姿に、あらためて農業ってステキだなと感じた小島さん。
そして、エチエ農産が作る乾燥野菜がとても美味しかったことから、卒業間近の3月、まずはこの乾燥野菜を仕入れ、販売する新事業「OYAOYA」を立ち上げることにしたのです。


野菜を干すことで旨味と甘さがアップ


乾燥きゅうり


中でも小島さんが面白いと思ったのは「乾燥きゅうり」。生のキュウリはシャキッとして、食べるとパリッと良い音がして瑞々しい味わいが魅力ですが、乾燥させると、もぐもぐと噛んで味わう食感に変身! 生の時には分からなかったフルーティで甘い味わいが出てくるのだそうです。


乾燥オクラ


しかも乾燥させた野菜は、生野菜よりも食物繊維やビタミンなどの栄養価がアップ。乾燥させている間に野菜が温まることで酵素が活性化され、糖度が上がり、甘くなるのだとか。


ジッパー付きなので、湿気が入らず、好きな分だけ使うことができるのも嬉しい!


そんな良いことずくめの乾燥野菜をポップでインパクトあるパッケージに詰め販売すると、ネット販売ということもあり、主に関東圏でじわじわと人気に火が付いていきました。


消費者と生産者のギャップを埋めたい


江戸時代から続く専業農家 谷口農園の谷口光里さん


さらに4月からは提携農家を増やすべく、主に「農業のこれから」を担う若い農家も訪ねて歩きました。そこで聞いたのは、販売ルートの確保とやはり規格外野菜の問題でした。


ラディッシュの産地化を目指す京の丹波 野村家の野村幸司さん


久美浜で出会ったお祖父さんに話を聞いた時から一貫して感じるのは、生産者と消費者とのギャップ。
「両者に接点がないので野菜作りに対して溝があるんですね。だから商品と共に、どんな思いで、どうやって作っているのかという生産者の情報も届けたいなと思ったんです。」
そこで生産者を取材し、ホームページで詳しく掲載することにしました。


また、OYAOYAで扱う野菜は全てこだわりを持ち、環境に配慮して育てられたもの。

「不思議なことに化学肥料を使っていると乾燥野菜にした時にエグミがでるんです。それに牛糞や植物系、どういう肥料を使っているかで味が変わるんですよ。これはむしろ購入してくださった方のほう敏感に気付かれるので、びっくりします。」


乾燥野菜にすることで、育て方による味の違いが明確になり、「農家さんの味をしっかりと消費者に届けられるのもいいなと思っています」と語ってくれた小島さん。

エチエ農産の越江さんと小島さん


もちろん、最初に京丹後で出会ったお祖父さんから言われた通り、規格外野菜は安く買い入れるのではなく生産者さんが決めた値段で購入。
「やはり生産するには様々なコストがかかっていますから。おっしゃる値段は妥当だと思っています。」


バラエティ豊か! 乾燥野菜の美味しい食べ方


写真左上から時計回りに「野菜のお出汁たっぷりナポリタン」「乾燥人参とオレオの豆乳アイスクリーム」 「フォカッチャアート」「乾燥ラディッシュを使った彩サラダ」「塩豚と乾燥野菜で作る即席キムチ」「野菜出汁を活かした温野菜サラダスープ」


OYAOYAのホームページでは自身が考案したものや消費者から教えてもらった様々なレシピが掲載されています。これは嬉しい! だって、せっかく買っても使い方が分からないと面白くないですからね。


きゅうりの炊き込みご飯


写真は購入者から教えてもらった「きゅうりの炊き込みご飯」。乾燥野菜は炊き込みご飯やスープにしても美味しいんですって。その他、トマトは良い出汁がでるので調味料の一つとして加えたり、賀茂なすはそのまま味噌汁に入れても美味。また、パスタの具にする時は麺と一緒に茹でると、やわらかく戻って麺にほんのり下味が付くなど、使い方のヒントも掲載。


左上から時計回りに、かぼちゃ、オクラ、紅くるり大根、万願寺とうがらし、乾燥オランジェ、ラディッシュ


ちなみにトマトはシーフード系の即席ラーメンに入れても美味しいのだとか。もちろん、そのままおやつとして食べてもいいですし、ヨーグルトにトッピングするのもおススメです。


スタートしてから1年半を迎え、提携農家が増えたことで、現在はラディッシュ、がぼちゃなど、ラインナップも約20種類に。これからも新しい商品が増えていく予定だそうですよ。野菜の新たな美味しさを教えてくれるOYAOYAの乾燥野菜。ぜひ日々の食生活の中にプラスしてみてはいかがでしょうか。

 

■■INFORMATION■■
OYAOYA 
購入はホームページから