選りすぐりの「プレミアム宇治茶」をご存知ですか?

静岡茶や狭山茶(埼玉県)と並び「日本三大銘茶」のひとつとして知られる京都府の宇治茶。その中に、厳正なる審査によって選ばれた「プレミアム宇治茶」と呼ばれる特別なお茶があることをご存じですか? 一体どのようなお茶なのかを知りたくなったKYOTO SIDE編集部は早速、宇治市にある京都府茶業会議所を訪れ、お話を伺ってきました。

日本三大銘茶の一角を担う、京都府が誇る「宇治茶」

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お話を伺った課長補佐の深町一憲さん(撮影の時だけマスクを外しました)

まずは、「宇治茶」について改めて、京都府茶業会議所の深町一憲さんがその歴史を教えてくれました。
宇治茶の始まりは、鎌倉時代。京都・建仁寺の栄西禅師が中国から持ち帰ったお茶の種を、京都・栂尾(とがのお)にある高山寺の明恵上人が宇治に伝えたといわれています。
室町時代には幕府が宇治茶を奨励し、その名前が全国に知れ渡るようになりました。江戸時代になると宇治で「覆い下栽培(※)」を開発。また宇治田原に住んでいた永谷宗円が煎茶の技法を生み出し、江戸後期には玉露の製法が宇治で誕生しました。
宇治茶は、時の権力者から庶民まで、多くの人々の暮らしになくてはならないものとして、現代へと伝わっていきます。
※覆い下栽培……新芽の生育中に茶園を遮光資材で覆い、一定期間光を遮って育てる方法。鮮緑色と独特の芳香やまろやかな旨味や甘味のある茶になる。

煎茶の普及に大きく貢献した永谷宗円の記事はこちら▼ 

「プレミアム宇治茶」ってどんなもの?

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申請された宇治茶を厳正に審査

そんな長い歴史があり、人々に愛されてきた宇治茶ですが、時代が進む中で人々の生活スタイルも変化していき、現代では煎茶や玉露を飲む人が減ってきています。宇治茶の生産地にも、危機感が出てきます。
「宇治茶の美味しさ・素晴らしさを、現代の、もっと多くの人に知ってもらいたい」
そう考え、厳選した高品質の宇治茶のブランド化に2018年度から取り組みます。宇治茶の中から、品質審査会で外観・香気・水色・滋味などを審査し、高品質と評価され、認証委員会に認められた宇治茶のみが名乗ることができるのが、この「プレミアム宇治茶」なのです(認証期間は認証日から1年間)。
まずは2種類の玉露の認定からスタート。そして今年度(2021年度)からは煎茶の認定も始まりました。

それでは、どのような茶葉かを具体的にご紹介していきましょう!

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覆い下園
プレミアム玉露

京都府産の玉露の中で「棚被覆」で栽培され、品質審査会で高品質と評価され、認証委員会で認められたもの。「棚被覆」とは竹などで作った棚によしずやわら、こも、化学繊維を広げて茶畑を覆い、薄暗くなるまで日光を遮った「覆い下園」で栽培する方法です。日光を遮ることで渋みが少なく、旨みが多いお茶になります。

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玉露の手摘み風景
プレミアム手摘み玉露 

プレミアム玉露の中でも「自然仕立て園」で育ったお茶を100%手摘みしたもの。新芽の中でも小さい葉は残し、折るようにして丁寧に摘み取られます。「自然仕立て園」とは、お茶の木の自然の形を活かした茶園のこと。収穫は年に1度で、品質の良いお茶ができます。

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プレミアム煎茶 

一番茶のみを使用し、色、香り、味などが品質審査会で高品質と評価され、認証委員会で認められたもの。

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今年度はプレミアム手摘み玉露29点、プレミアム玉露14点、プレミアム煎茶34点が認証されました。認証されたお茶には写真のような認証シールが貼られます。

 

プレミアム宇治茶を飲み比べ 〜それぞれの味をご紹介〜

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お茶の淹れ方を教えてくださった大西美佳さん(撮影の時だけマスクを外しました)

お話を聞くと「やっぱり飲んでみたい!」 と思い、今回は家でも美味しくいただけるようにと、日本茶インストラクター・リーダーの大西美佳さんに淹れ方も教えていただきました。

「玉露」バージョン

まずは玉露から。「玉露は喉を潤すお茶ではなく、心を癒すお茶なんですよ。ですから、お湯をたっぷり入れてしまうと、せっかくの玉露の良さが感じられないので、お湯はほんの少しの量=茶葉と同量くらいの量を使います」と大西さん。

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茶葉は2人分で約5グラム。茶葉とお湯の量は1:1の割合で淹れます。
お湯の適温は約40度。お湯は器に移す毎に温度が10度程下がるので、やかん等でよく沸かしたお湯をポット→湯冷まし→湯のみに移し、暫く待ちます。湯呑を持ってみて人肌位と感じたら→急須に注ぎます。このように丁度よいお湯の温度に調節していきます。
茶葉にまんべんなくお湯が浸るぐらい注ぎ、急須を振らないでゆったりと、2分ほど待ちます。これらがおいしい玉露を上手に淹れるコツなのです。

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仲井芳東園「京田辺玉露 藤乃露」、堀井七茗園「出品玉露 鳥」、丸利吉田銘茶園「玉露 極茶」

今回は「プレミアム手摘み玉露」の中から3銘柄のお茶を飲み比べてみることにしてみました。
一見、3つとも同じように見えますが、よ~く見ると微妙に茶葉の色や葉の大きさが異なるのが分かります。

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左から、仲井芳東園「京田辺玉露 藤乃露」、堀井七茗園「出品玉露 鳥」、丸利吉田銘茶園「玉露 極茶」

左から順にいただいていきます(感想はあくまでも個人のものです)。

①仲井芳東園「京田辺玉露 藤乃露」
爽やかで、ほのかな酸味のような旨みを感じました。飲んで少し時間が経つと優しい甘さが口の中に広がり、幸せな気分になります。

②堀井七茗園「出品玉露 鳥」
香りが強い! 旨味と甘みが濃厚で、まるで旨み成分を全部、抽出したような味わい。いうならばエスプレッソのよう。

③丸利 吉田銘茶園「極茶 玉露」
茶葉が小さく急須に残った茶葉がふっくらしていたのが印象的。3つの中では一番色が鮮やか。爽やかでほんのり苦味もありながら、後口に旨みが残ります。

同じ玉露でも、こんなにも印象が違うことに驚かされました。特に旨みが違うんですね。
「宇治の玉露は出汁のような旨みが特徴なんですよ」と大西さんがおっしゃるのも納得。日曜日のブランチには①、平日の朝、一番にいただくなら②、ティータイムにいただくなら③……なんて、シーンで飲み分けるのも良さそうです!

「煎茶」バージョン

煎茶の適温は70度。それ以上になると渋みが出てしまうそうです。

f:id:kyotoside_writer:20220224160205j:plain茶葉は2人分で5グラム。茶葉とお湯は1:2の割合です。今度は沸騰したお湯→ポット→湯のみ→急須へ入れて70度に調節します。
お湯を入れたら香りが逃げないように、急須の蓋をしめて1分弱待てばOK。

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左より、松北園茶店「煎茶 匠印」、共栄製茶「松の園 金」

飲み比べるのは、こちらの2銘柄。

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左より、松北園茶店「煎茶 匠印」、共栄製茶「松の園 金」

大西さんによると「宇治の煎茶は黄色い色が特徴です」とのこと。同じ黄色でも色味が違いますね(感想はあくまでも個人のものです)。

①松北園茶店「煎茶 匠印」
煎茶らしい香りが一気に広がります。若々しい若葉の爽やかさが魅力。後からほわっとした甘さがやってきます。朝イチ飲んだらシャキッとしそう。

②共栄製茶「松の園 金」
ほわんとした優しい香りながら、飲むとまるでスープ(?)のような充実した旨みがひろがります。

ところで煎茶をいただこうとした時、なんとなくホコリのようなものが浮いていることってありませんか? これはホコリではなく、「毛茸(もうじ)」といって新茶の新芽のみにつく産毛のようなもの。つまり毛茸が多く浮いているということは、新芽の美味しいところを多く使っているということなのだとか。これは、お茶をいただくときの目安にもなりますね。

プレミアム宇治茶を購入したい!と思ったら……

f:id:kyotoside_writer:20220225150724j:plainプレミアム宇治茶の購入は、各販売業者の店舗やオンラインショップから「プレミアム宇治茶」の認証シールを目印に茶葉を購入してくださいね。
今回、プレミアム宇治茶を飲んでみて、いつも飲んでいるお茶とはひと味違う、飲んだだけで心が潤い、気持ちもほっこりする素敵なお茶と出会いました。
あなたもぜひ、プレミアム宇治茶で豊かなティータイムをお楽しみください。

プレミアム宇治茶認証茶のリストはこちら▼
https://www.pref.kyoto.jp/nosan/premiumujicha.html

■■INFORMATION■■
京都府茶業会議所 
京都府宇治市宇治折居25番地2 宇治茶会館 
TEL:0774-23-7713