【Vol.44-巻頭特集】Go Forward!(前編)

ゴールを奪うだけでなく、さまざまな役割を要求されるのが、現代サッカーのフォワード。
彼らが汗を流した分だけ、サンガは一丸とまとまり、さらにまた強くなっていく。

コンサドーレ札幌戦で敗れてチームの中で何かが変わった

エスクデロ(以下セル):開幕当初はサッカー的に悪くはなかったのに取りこぼした感があったよね。

有田:開幕から4戦連続ドローだったけど、結果が出るようになってきた今(5月19日取材)思うと、その経験もプラスになってる。

セル:僕たちにとって大きかったのは4分けの後に1-3で負けたコンサドーレ札幌戦。あの試合は正直言って崩れた感があった。僕はメンバーに入れなかったけど、ソメくん(染谷悠太)、ホンちゃん(本多勇喜)、アリ(有田光希)は次の試合はベンチスタートになって思うところがあったはず。札幌戦で痛い目にあった選手が「これじゃダメだ!」と思ったし、ベンチの選手、ベンチ外の選手は「やってやろう!」という気持ちになり、全員がチームのために何らかの形でサポートするようになった。

有田:確かにあの札幌戦が変わるキッカケになったと思う。あの試合の後、一人ひとり思うところがあったから。

セル:サンガは選手、スタッフ、フロント、施設、そして街のブランド…どこから見ても絶対に2部にいてはならないクラブ。そのプライドが札幌戦で負けたことによってズタズタに傷つけられた。試合に出てなかった自分でさえ怒りで爆発しそうになった。

有田:セルくんはケガで試合を離れていた時期があったけど、やっぱり試合に絡むとチームが変わる。ピッチであろうとベンチであろうと一番声が出てるもん。今年のサンガは顔ぶれが変わって、若手からベテランまでまんべんなく構成されている。自分としてはそろそろ中堅に差しかかってきたので、今年は上と下とのつなぎ役をと思ってたけど、そんなの必要がないぐらいしっかりコミュニケーションがはかれている。選手同士はもちろん、コーチ陣も積極的に声を出してくれてる。若手がのびのびしているし、ピッチを離れたら関西のノリで誰かをイジったりしてワイワイやってるし、よりチームらしくなったと実感してる。

セル:去年、中国でプレーしていた時、日本のサッカーはハイライトでJ1からJ3までチェックしてた。それで、J1は技術や戦術で戦うサッカー、J2は「よく走るサッカー」「戦うサッカー」というのを勝手にイメージしていた。「最初の10分は前に長いボールを蹴って、そのセカンドボールを拾って押し込むチームばかりなんだろう」みたいな。でも、実際にJ2でやってみると全然違った。FC町田ゼルビアやレノファ山口FCはすごくいいサッカーで結果を出してるし、セレッソ大阪はJ1のスタイルを崩さずにやってる。札幌もベテランの選手をうまく融合させてる。ほんと、チームそれぞれに個性があって楽しいよね。サンガも走れる選手はいるし、技術が高い選手もいるから、今の順位ではまだまだ満足できない。もっと監督が目指すサッカーをより明確に実践して、さらに選手個々が持つプラスアルファを発揮していきたい。

プロフィール:エスクデロ 競飛王

エスクデロ 競飛王 ESCUDERO Sergio

1988年9月1日生まれ。スペイン出身。父が浦和レッズでプレーし、自身も浦和でプロのキャリアをスタート。2007年に日本国籍を取得し、U-23日本代表にも名を連ねた。FCソウル(韓国)、江蘇舜天/江蘇蘇寧(中国)でのプレーを経て、今年、サンガに加入。抜群の突破力とキープ力を併せ持ち、チャンスを量産。サンガの攻撃を支えている。

プロフィール:有田 光希 ARITA Koki

有田 光希 ARITA Koki

1991年9月23日生まれ。新潟県出身。中学生時代はアルビレックス新潟Jrユースで過ごす。北越高校卒業後、ヴィッセル神戸、愛媛FCでプレー。愛媛在籍時代の2012年は14得点を挙げる活躍を見せた。2014年、サンガに加入。前線からの献身的なチェイシングや身体能力の高さを生かしたシュートが武器。たびたび決めるビューティフルゴールは、サンガファンの記憶に残る。

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